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放射線科学部門

部門長:深瀬 浩一

放射線科学部門では、1)産学官連携室、施設維持共同利用管理室、ならびに推進する研究プロジェクトが中心となり、放射線に関連した研究を部局横断的に進める事、そして2)放射線に関連した研究の産学共創や共同利用の窓口となる事をミッションとしています。

放射線機構が設立される2018年以前から、医理連携事業の一環として医学系研究科、理学研究科、核物理研究センターが協力して「アルファ線核医学治療開発」を行っていました。放射線機構の設立後は、「アルファ線核医学治療開発プロジェクト」としてさらに精力的に進めています。現在までに、我々が最初の治療薬剤として想定している211At-NaAt(アスタチン化ナトリウム)は、甲状腺がん移植マウスを用いた動物実験により、特異的な腫瘍への集積と著明な腫瘍増殖抑制効果が確認されています。さらに、阪大病院での医師主導治験に向け、非臨床試験を行うラジオアイソトープ総合センター吹田本館において信頼性基準の適用体制を整備し、2019年10月1日から施行しています。それと同時に、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PDMA)との対面助言相談を進め、おおよその合意まで達しました。また、我々がこれまでに得た211At薬剤の製造技術やこれから進めていく治験成果を企業に導出する事を想定し、大阪大学の起業プロジェクト育成グラントを獲得して起業化も同時に進めています。また、211At-NaAtに続く新たな211At薬剤の開発も学内部局ならびに学外機関との共同研究により進めており、その数は順調に増えています。本研究プロジェクトの詳細については、下記の「プロジェクト」をご覧ください。

アルファ線核医学治療法開発は、中野核物理研究センター長(放射線機構の産学連携担当)が領域統括として推進している産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム(OPERA)の「安心・安全・スマートな長寿社会実現のための高度な量子アプリケーション技術の創出(QiSS)」の中でも重要な課題に位置付けられています。理化学研究所や量子科学技術研究開発機構など国内の機関、ならびに多くの民間企業と連携して「健康長寿社会実現のためのアルファ線核医学治療の開発」に取り組んでいます。また、放射線機構ではすでに治療核種225Acについても薬剤開発や動物実験などの基礎研究を開始しています。一方、核物理研究センターではカナダの国立加速器研究所TRIUMFから225Acの輸入を計画しており、我々も新たな共同研究や連携を企画したいと考えています。

現在、放射線の生物学的影響、福島関連研究、大規模RI製造法など、アルファ線核医学治療に続く新たな研究プロジェクトの立ち上げを構想しています。また、放射線機構では、「教育研究プロジェクト準備経費」を策定し、2019年度から公募を始めました。本部門では、これら部局間連携に基づく研究プロジェクトを加速して推進していく所存です。専任教員、兼任教員はもとより、関係者の皆様にご支援・ご協力をお願いするとともに、様々な教育研究のご提案を歓迎いたします。何卒よろしくお願い申し上げます。

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